ベンダーロックイン解除方式による監視制御システムの実証試験
令和3年7月29日
ベンダーロックイン解除方式による監視制御システムの実証試験
株式会社水みらい広島は、異なるシステム間の相互データ利用を可能にするコミュニケーションプロトコルOPC-UA*1)を用いて、浄水場で発生するデータを横断的に取得し、汎用SCADA*2)によって監視と制御を行う実証試験を広島県営水道の坊士浄水場(尾道市)において実施しました。
これまでの浄水場では、既設のシステムに準じたSCADAやPLC*3)を組合せることによって、既存システムの改造や更新が行われてきました。今回採用した方式は、汎用的なハードウェアやソフトウェアの導入も可能にすることから、改造や更新に掛かるコストを低減できると考えています。また、本方式は、異なるシステムの横断的な相互利用を可能にすることから、水道広域化における浄水場の統廃合や維持管理業務の効率化にも短期間かつ柔軟に対応できると考えられます。
今回の実証試験は、システムが異なる稼働中の6つの設備のPLCからOPC-UAによって約2000点のデータを採取しました。採取したデータは、汎用SCADA上やオープンプラットフォーム上に作製した監視制御アプリケーションにおいて監視と制御ができることを確認しました。
国内の上下水道事業は、人口減少等に伴う給水収益の減少、施設の老朽化に伴う更新費用の増加などにより、損益や資金収支などの財務状況は悪化の傾向を辿っています。さらには、経験豊かな職員の大量退職などによって、上下水道事業を支える技術力の継承にも課題が生じており、これらの問題や課題を抜本的に解決する術がこれまで以上に求められています。
今回実証したベンダーロックイン解除方式による監視制御システムは、これまでの改造や更新に要したコストの抑制を可能にしつつ、より有効な維持管理業務の効率化や集約化が行えると考えることから、本方式の開発と検証を進めてきました。
水みらい広島は、今後も積極的にデジタル技術を活用し、一歩先のみらいを見据えて、上下水道事業のデジタルトランスフォーメーションに取り組んで参ります。
*1) OPC-UA(Open Platform Communications Unified Architecture):異なるベンダー製品間やOS間のデータ交換を可能にする高信頼の産業通信用のデータ交換標準のこと。
*2) SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition):施設を構成する装置・設備から得られるデータを、ネットワークを介して一箇所に集めて監視制御するシステムのこと。
*3) PLC(Programmable Logic Controller):装置のおかれた状況に応じた動作を事前に記憶させておくことで自動的に制御する装置のこと。
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社水みらい広島 [担当:大野]
〒730-0041 広島県広島市中区小町1-25 電話:082-258-1315 (直通)